徳川園の四季
花ごよみ
夏の花
代表的な花々
ハナショウブ
場所:菖蒲田
ノハナショウブから改良された園芸種で、鑑賞はおよそ800年前から行われていたようである。実際に花菖蒲の栽培が行われた記録は江戸時代寛文年間(1661~73年)に尾張藩主徳川光友が江戸屋敷戸山荘に花菖蒲やカキツバタを植えて鑑賞したのが初めてとされる。
アジサイ(ウズアジサイ・ガクアジサイ・ヤマアジサイ)
場所:虎の尾、虎仙橋付近
色は赤、青、白など。葉に光沢がないところが特徴。渓流付近での涼やかな花々が印象的である。
白から赤に花色が変化する品種「紅(くれない)は」虎の尾に植栽されている。
ギボウシ
場所:虎の尾上流等
日本古来からの園芸品。名前の由来はこの仲間の若いつぼみが橋の欄干につける擬宝珠に似ていることから。
クチナシ
場所:瑞龍亭西側
香りのよい花木。実は黄色の色素を持つので栗きんとんなどの色付けに使われたり、薬用としても使われる。
コムラサキ
場所:虎仙橋付近等
名前の由来は一般には平安時代の作家「紫式部」に例えたとされるが、実際は、びっしりと実のついた様子の「紫茂実」、あるいは「紫敷く実」からきたのだと言われる。
サルスベリ
場所:龍仙湖北側・西側
名前の由来は幹の肥大成長に伴って古い樹皮のコルク層が剥がれ落ち、新しいすべすべした感触の樹皮が表面に現れて更新して行くことによる。
シモツケ
場所:亀島付近、瑞龍亭付近
名前の由来は栃木県の下野(しもつけ)で最初に発見されたため、あるいは花が散房状に密生して咲き、これが霜の降りたようすに似ていることから出たともいわれる。
ハマゴウ
場所:観仙楼前
常緑の小低木で、砂浜などに生息することが多い海浜植物。全体にユーカリの葉に似た芳香があり、その実は鎮痛や消炎作用を目的として漢方薬などにも使われることがある。
ハマボウ
場所:観仙楼東側
アオイ科の落葉低木。花期は7~8月で黄色の綺麗な花を咲かせる。花は同じフヨウ属であるムクゲやハイビスカス、フヨウに似ている。
スイレン
場所:龍仙湖(主に西湖提付近)
水生の多年草。水位が安定している池などに生息し、地下茎から長い茎を伸ばして水面に葉や花を浮かべる。
ハス
場所:菖蒲田横の水路
インド原産の多年性水生植物。スイレンと同じで地下茎から水中に茎を伸ばし、葉や花を水面に出す。茎には空気を通すための穴が通っている。地下茎はレンコンとして食用に用いられる。ハスの花は清らかさや聖性の象徴として称えられることが多く、宗教とのかかわりも深い。
ハンゲショウ
場所:西湖堤東側
最上部(花のすぐ下)に位置する2~3枚の葉の表面が白く変化し、花弁の役目を果たす。
葉の片面(表面)だけが白く変化することから「カタシロクサ(片白草)」とも呼ばれている。
ムクゲ
場所:蓬左文庫前
フヨウと近縁の落葉樹。夏の茶花として用いられることも多い。庭木や街路樹などに植えられている。
ヤブカンゾウ
場所:観仙楼前
花の少ない時期に鮮やかな橙色の花をつける。若葉と花は食用になり、乾燥させて保存食としたりした。また、利尿剤として民間薬として利用される。
ヤブミョウガ
場所:四睡庵西側
花の少ない時期なので、地味な花だが目立つ。「ミョウガ」という語が入っているが、ミョウガ(茗荷)はショウガ科であり、ヤブミョウガはツユクサ科。
ヤブラン
場所:四睡庵周辺
東アジアに分布する多年草。紫色の小さな花が穂状に咲く。葉は長く下に垂れたような形状。開花期は夏から秋にかけてであり、花が終わったあとは黒い小さな実をつける。
ワレモコウ
場所:虎の尾など
バラ科の多年草。海岸近くからやや高い山まで日当たりのよい草原によく見られる。
花は枝分かれする茎の先端に密集してつき、短い穂になる。
ユリ(オニユリ・カノコユリ・ヤマユリ)
場所:虎の尾、虎仙橋付近
北半球のアジアを中心に広く分布している。品種は約130種あるとされているが日本には15種ほどが分布している。